来 歴

挑戦状


私をそつとしておいてくれないか
あなただつて
ひとりにかえりたいことがあるだろう
いてもなくても同じなら
ずつと後を向かせてくれないか
薄情なくらやみの方が
おしやべりのまつ昼間より
ずつとましなのだ
だまつていることの
日なたのにおいのようななつかしさを
あなたのひつきりなしに動いている
みだらな口もとへ押しつけてやる
私に明るい方を見させ
歩かせ話させ
笑わせ食べさせ
制限まで作つてくれようという
やさしいおせつかい
でも私は見てしまつたのだ
笑みこぼれる頬とはうらはらな
私を見はつている意地悪な仮面を
あなたの優越感をみたすために
歩くなど笑うなどもうごめんだ
私に心からの親切を伝えたいなら
どうかそつとしておいてくれないか
ほんとうの夜明け
ほんとうのしあわせを見きわめる眼を
頼むから曇らせないでくれないか

来歴目次